2005年10月14日
鳥取県版人権「侵害」法案制定の反応
- teto
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- カテゴリー:社会
地方各紙、猛烈な勢いで反対社説を掲載。
これの全国版が、将来国会に提出される予定。
恐ろしかぁ~。
論説 : 鳥取県の人権条例/議論は尽くされたか
県民の議論は尽くされたのだろうか-。鳥取県の人権条例の県議会による修正案が五日、本会議に提案された。十二日の最終日に可決される見通しだが、いまなお、その思いが残る。
人権条例は人権救済推進委員会が被害者からの救済申し立てに基づいて調査を行い、加害者に対して人権侵害行為をやめるよう勧告し、従わないときは公表するというものだ。
昨年十二月議会で、執行部案と議会内の一会派の修正案を継続審議として以来、これまでに別の二会派も加わって意見を調整し、今回の修正案をまとめ上げた。執行部案に問題ありとして、議会が独自に修正案を作る姿勢は評価できよう。
ただ、十二月議会で当時の最大会派・自民党が指摘した人権救済推進委員会の独立性の確保や乱用防止といった課題が、今回の修正案でどう解決されたのか、いまひとつ明確でない。
独立性の問題を挙げれば、人権救済推進委員会は地方自治法上、教育委員会のような独立行政委員会としては設置できず、知事の付属機関という位置付けである。県が提案した特区は国に認められていない。
県や県幹部職員が加害者として救済申し立て対象になった場合、新たに盛り込んだ事務局長の配置だけで、県行政の委員会に対する影響力を排除できるのかどうか。
調査協力の義務付けと、協力しなかった場合の五万円以下の過料の対象は当事者本人に限定したものの、罰則で一般の県民を規制することに変わりはない。恣意(しい)的に悪用されたりすると、県民の意識を委縮させることにならないか。
報道機関も無関係ではなく、報道の自由の尊重は明文化されてはいるが、救済申し立ての対象となることは、これまでの議会での知事答弁で明らかである。報道の規制につながらないか、疑問がある。
その一方で、行政機関は公共の安全と秩序の維持に支障をきたすと判断すれば、人権救済推進委員会の調査を拒否できることになっている。官に対する調査の実効性は必ずしも保障されていない。
そして、何よりもこうした課題以上に、県民の生活に直接かかわってくる条例の内容を、どれほどの県民が理解しているのかが問題であろう。
十二月議会以降、継続審議にした議会の責任として、人権意識や条例への理解を深めるため、幅広く県民の意見を聞き、県民意見の募集を行ったりしたか、が問われよう。
もちろん、議会は県民の代表であり、その自負の下で今回の修正案が出されたものと理解はしているが、県民に過料を科す条例である。他の条例以上に慎重さが求められはしないか。
他に人権救済の機関がないならば別だが、県弁護士会や鳥取地方法務局の人権擁護委員もいる。
鳥取県湯梨浜町で、学校給食をめぐる教員による児童の人権侵害を救済したのは県弁護士会である。父母は学校や教育委員会に訴えていたのに、である。
課題の残る条例を全国に先駆けて、あえて急ぐ必要がどこにあるのか。いまなお理解できない。
('05/10/07 無断転載禁止)
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鳥取人権条例*自由が逆に脅かされる(10月13日)社会には、いわれのない差別や人権侵害で苦しむ人がいる。住民に身近な地方自治体がその救済に取り組む意義は否定できない。
しかし、鳥取県議会が可決し、来年六月一日施行が決まった県の人権侵害救済条例はあまりに問題が多い。
表現の自由侵害が懸念される一方、市民に罰則を科し、警察には拒否権を与える均衡を失した内容である。施行されても問題が起きることが予想される。廃止するのが筋だと主張したい。
都道府県が人権侵害救済を目的に独自の条例を制定したのは初めてだ。
人権侵害を受けたり、受ける恐れがあったりする人の申し立てで、第三者機関の人権侵害救済推進委員会が関係者の事情聴取や調査を行い、重大な侵害に対しては加害者への勧告などの措置をとる。
正当な理由なく勧告に従わない場合には氏名を公表し、調査を拒んだり妨げたりした人には五万円以下の過料を科す。重い罰則規定といえる。
問題は侵害の内容である。人種差別や虐待、名誉や社会的信用を低下させるためのひぼう・中傷、セクハラなどとともに「私生活の事実、肖像などの情報を公然と示す行為」を掲げ、「してはならない」と規定する。
プライバシーはどこまで守られるべきかは、表現の自由、報道の自由と関連して議論を呼んでいる。この規定では、プライバシーの範囲が一線を超えて広がる可能性をもつ。
条例は表現の自由尊重を掲げてはいるが、たとえば公人の汚職追及や批判記事は人権侵害とみなされるのではないか。運用に大きな不安がある。
「被害を受ける恐れがある」場合に申し立てを認めていることにも批判は多い。市民の行動への事前規制が容易になるからだ。
また、行政機関は「犯罪予防、捜査」、あるいは「公共の安全と秩序の維持」に支障を及ぼす恐れがある場合は協力要請を拒否できるのも問題だ。
市民に目を光らせ、権力を行使する行政機関を事実上網の外に置く人権条例が果たして妥当なのだろうか。
こうした問題の数々に、県弁護士会が憲法違反の疑いもあると強く反対しているのは当然だろう。
国の人権擁護法案は、人権の定義をめぐる自民党内の議論が決着せず先の国会では再提出が見送られた。メディア規制条項と、実施を担う人権委員会が法務省の外局と位置付けられていることに批判が集まった法案である。
鳥取県は生煮えの法案を下敷きにし、問題点もそのまま引き継いだ。
そんな条例が呼び水となって法案再提出の動きが活発化する可能性がある。鳥取県に追随する府県が出るかもしれない。一つの県の動きだとして見過ごすことはできない。
人権救済条例/鳥取県の狙いは分かるが
2005/10/13多様な人権侵害からの救済策を都道府県で定めた初の例となる鳥取県の人権侵害救済条例が、県議会で可決、成立した。
条例は人種差別や虐待、名誉や社会的信用を傷つけるひぼう・中傷、セクハラなどを禁じ、被害の申し立てを受けた委員会が加害者に是正勧告などを行える。
先に廃案になった国の人権擁護法案を先取りしたような内容といっていい。
わたしたちの周囲では、いまもさまざまな人権侵害が後を絶たない。そんな現状を考えるなら、あらゆる不当な差別や虐待を許さず、被害の救済、予防を図ろうという方向性は十分に理解できる。国民にとって共通の課題というべきだろう。
しかし、実際に条例で枠をはめようとするなら、よほど慎重に吟味しなければならない。内容や運用次第で、新たな人権侵害を生んでしまう恐れがあるからだ。
人権擁護法案が日の目を見なかったのも、メディア規制で国民の知る権利が侵されることへの批判が大きかった。
そうした観点で今回の県条例をみると、多くの懸念を抱かざるを得ない。
「地方単位で人権擁護機関をつくった方が、きめ細かい判断ができる」という片山善博知事の見解には一理ある。地元法務局への相談も少なくないようだ。
しかし、加害者の氏名公表など行政サイドに与えられる権限に比べ、人権侵害の定義や運用の基準があいまい過ぎないか。
表現の自由の尊重を記していても、条例の勝手な解釈で正当な取材活動をしばってしまうようでは、せっかくの条例も市民にとってマイナスにしかならない。そのあたりの配慮は尽くされたのだろうか。
行政機関の場合、犯罪の予防や捜査に支障が考えられるなら協力を拒否できるというくだりも問題だ。人権侵害は行政機関によっても起こり得る。身内に都合の良い内容といわれても仕方ないだろう。
まだ詰めるべき点が残るだけに、条例案が議員提案されて、わずか一週間で可決に至ったことにも疑問を感じる。
たしかに、条例案は昨年末に知事が示し案を議会会派で修正したもので、一定の議論の蓄積はある。とはいえ、国レベルで長く賛否両論のやりとりが続いていることを思えば、いかにも拙速の感が否めない。
条例の成立に対し、県弁護士会などから強い反対の声が上がっている。知事自ら、その問題点を議会答弁で述べている。
県は今後、慎重にも慎重な運用を心がけるとともに、中身の見直しにちゅうちょするようなことがあってはなるまい。
社 説 鳥取県の人権条例「両刃の剣」を握った県民
どうにも解せない。なぜ急ぐ必要があるのか。鳥取県民は、使えば自分たちも傷つく恐れのある「両刃の剣」を握らされた。
鳥取県議会は十二日、県の人権条例の六会派による修正案を賛成多数で採択した。差別や虐待など人権侵害に苦しむ人を素早く救済する、その目的自体を否定する人は誰もいないだろう。しかし、「個人の内面」に踏み込む内容を持ち、慎重さと厳密性を要する条例にもかかわらず、まるでたばこのポイ捨て禁止条例のごとく、数の勢いであっさり採択してしまった。「全国初」は誇るに値することなのだろうか。
どこが変わったのか
不思議なのは、提出議員ら自身が以前「問題あり」としていた点が、どう変わったのか、改善されたのかが分からないことだ。三月議会の総務警察常任委員会では、十二月に県が提案した案と一部会派の修正案について、(1)県は、人権救済推進委員会を行政から独立した機関にするため国に特区申請したが認められず、同委員会の独立性、公平性の確保の問題は解消されていない(2)人権擁護法案の国会提出が予想され、同法案が成立した場合は条例案をさらに見直す必要が出てくる(3)二月の自民党と県弁護士会の意見交換で、裁判所の令状なしで職権により関係者等に差別や虐待を調査し、調査への協力を拒めば五万円以下の過料(罰金)を科すことができる同条例は、公権力が県民生活に過度に干渉するなどの新たな人権侵害につながる可能性があると強く認識した-と説明があり、異論もなく継続審査が決まった。
ところが、今回提出された条例案の修正部分は、▽委員会は男女とも二人以上とし、弁護士を含めるよう努める▽調査協力の義務付けは人権侵害当事者に限定 ▽勧告前に弁明の機会を与える-といった程度で、自らが発した疑問点に答えるものにさえなっていない。県弁護士会が反対を唱えているからと言って、弁護士を委員に入れてよしとするのも安易ではないか。
県民の理解は不十分
もともと同委員会の行政からの独立性は、県の特区申請が認められなかった時点で成り立ちようがなくなった。地方自治法では教育委員会などを除いて独立行政委員会の設置を認めていない。「知事の付属機関」では、加害者が県や県関係者だった場合、行政権力の委員会への影響力について県民に深刻な疑念や誤解を招く。ましてや行政機関の長の判断次第では協力拒否ができる項目まである。県弁護士会の反対声明に、片山知事は「提案者である議会が説明責任を果たされるべき」とまるで他人事のようで、「問題があれば修正していけばいい」と議員ともども楽観的だが、一般市民が人権問題で係争に巻き込まれた場合、どれだけ本人や家族に深刻な事態を引き起こすか、想像力は働かないのだろうか。「高みの見物」のような発言は慎むべきだ。
人権侵害の定義もよく分からない。虐待やセクハラ条項はこれでは用をなさないのではと思うほど簡素で、人種等(人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病または性的指向)を理由とした差別的取り扱いや言動への「調査」「救済」が主になる予感がある。
人権は憲法で保障され、救済する法律も機関もある。それとは別に、啓発ならともかく罰則や公表による制裁を伴う「もう一つの法律」のような条例を、地方で急いで設ける必要があるのか。営々と「対話と理解」で取り組んできた人権施策にはそぐわない気がする。何より、被害者にも加害者にもなりうる県民が、同条例について何も知らされていないのが最大の問題、と言っておこう。
社説(2005年10月13日朝刊)
[鳥取県が人権条例]
拙速・問題含みの内容だ
人種差別など人権侵害からの救済や予防を掲げた鳥取県の「人権侵害救済条例」が十二日、成立した。都道府県では初めてである。片山善博知事は「地方単位で人権擁護機関をつくった方が、きめ細かい的確な判断が下せる」と強調している。
しかし、県弁護士会は「行政機関による人権侵害を引き起こす可能性が極めて高く、憲法違反の恐れがある」として反対声明を出した。
また有識者からも人権救済推進委員会の独立性や表現の自由に対する侵害など問題視する声が相次いでいる。
条例では、人種差別や虐待、名誉や社会的信用を低下させるためのひぼう・中傷、セクハラなど八項目を禁止している。
最近はインターネットを利用したプライバシーの侵害が増えている。また児童虐待、セクハラなども後を絶たない。こうした中で社会を挙げて人権侵害に立ち向かい、とくに弱い立場の人々の権利を守ることは重要だ。
だが問題は条例の中身である。条例では、犯罪の予防、捜査などに支障があると当該機関のトップが判断すれば協力を拒否できると定めている。公権力による人権侵害を防止する観点が欠落しているのではないか。
人権を守るための条例が、逆に人権侵害を招く事態も予想される。
報道機関については「報道の自由を尊重する」としているが、公人の汚職報道などを「ひぼう・中傷」とみなし、報道の自由を妨げる可能性もある。
委員の任命権や規則の制定などを知事が握り、独立性が保てないとの疑念も残されている。県や委員会が条例を運用する基準も明確になっていない。
こうした問題点を見ると、同県の条例は先の通常国会で先送りにされた政府の「人権擁護法案」と二重写しになって見える。この法案でも、人権委員会の独立性やメディア規制などの問題点が浮き彫りになった。
このように数多くの疑念を内包した条例であり、その運用には極めて慎重になるべきである。
10月14日付・読売社説(1)
[鳥取人権条例]「拙速な制定に追従すべきでない」
人権救済を掲げながら、行政機関による人権侵害は見逃すことにならないか。恣意(しい)的な運用の懸念も、払拭(ふっしょく)できない。
鳥取県が全国に先駆けて「人権救済条例」を制定した。差別的言動や虐待など、人権侵害の被害救済を目的とし、来年6月に施行される。
救済機関となる人権侵害救済推進委員会は、知事が任命する男女5人の委員で構成される。被害救済の申し立てを受けて調査を開始し、加害者側に是正勧告などを行う。従わないと氏名、住所などが「公表」される。
委員会の調査権限は絶大だ。条文上は事情聴取や資料提供などの「協力」を求めることができる、とされているが、拒めば5万円以下の過料が課される。実質的な処罰規定で、調査に応じることを強制しているに等しい。
その一方で、行政機関の長が、調査への協力は「捜査」や「刑の執行」、「公共の安全と秩序の維持」などに支障を来す、と判断すれば、協力要請を拒めるという規定もある。
警察や刑務所での強圧的取り調べや、職員による暴行事件がしばしば問題になる。救済申し立てがあっても、県警本部長や刑務所長が「ノー」と言えば、調査はそこでストップしてしまう。
私人には罰則を課しながら、公権力機関には“抜け穴”を用意するなど、条例は著しく均衡を欠いている。委員会が実質的に県の付属機関となっている点も、独立性の点で問題がある。
「人権侵害」の定義があいまいな上、報道機関が適用対象とされていることも大きな懸念材料だ。
「名誉又は社会的信用を低下させる目的」で、「私生活に関する事実を公然と摘示する行為」に当たる、と判断されれば、是正勧告の対象となる。報道の公共性や公益目的の有無などは勘案されず、政治家の不正疑惑を追及する記事なども一律に規制対象になる恐れがある。
鳥取県弁護士会は「憲法違反の恐れすらある」とする会長声明を出した。片山善博知事も条例に問題点の多いことは認め、改正の可能性を口にしている。
政府は「人権擁護法案」の国会再提出を目指している。法案には、「人権侵害の定義があいまいだ」「人権委員会の権限が強すぎる」といった、鳥取県条例と同様の批判が出ている。メディア規制条項については「凍結」という手法で批判をかわそうとしている。
政府の法案ですら論議がある中、問題の多い鳥取県の条例制定は、拙速の感が否めない。他の自治体は、こんな動きに追従するべきではない。
(2005年10月14日1時49分 読売新聞)
鳥取県人権条例 運用への監視不可欠だ
'05/10/14これでは、かえって人権を束縛することになるのではないか。全国に先駆け、国に先行する形で成立した鳥取県の人権侵害救済条例である。侵害の定義があいまいなうえに、運用基準も不明確である。表現や報道の自由が制約されかねず、運用は慎重、誠実でありたい。県民の厳しい監視が欠かせない。
条例は人種差別や虐待、名誉・社会的信用を低下させるためのひぼう・中傷など八項目を人権侵害の行為と規定する。救済機関となる人権侵害救済推進委員会に、被害からの救済などを申し立てることができる。人権を侵害したと認定され、是正の勧告に従わない場合は名前・住所を公表。委員会への調査協力を正当な理由なく拒むと罰則(過料)が規定され、強制力が大きい。
深刻ないじめや虐待など人権侵害に苦しむ人を素早く救済する。それを否定する人はいない。地方単位に救済機関をつくった方が的確な判断ができるとの趣旨だが、それにしても疑問点が目立つ。
まず侵害の定義のあいまいさが挙げられる。解釈次第で規制の網がどんどん広がる。「公然とひぼう・中傷する」というだけでは、市民活動も対象になりうる。デモなどの市民の抗議行動も「生活の平穏を害する著しく粗野な行動」と認定され、処罰の対象になる危険性もある。
「表現の自由」の位置付けも厳密さに欠ける。報道または取材・表現の自由には「最大限の尊重」を盛り込んでいる。しかし、報道内容が救済申し立ての対象となって、一定の制限がかけられることを危惧(きぐ)する。汚職などの報道がひぼう・中傷とされる可能性があり、行政などの不正を明らかにする調査報道などは成り立たなくなってしまう。
是正の勧告に従わなかった人の名前や住所の公表には、「職業や社会的信用を奪う過酷な処分」(鳥取県弁護士会)との批判がある。それを判断するのは独立した機関でなく、知事直属の委員会である。恣意(しい)的に運用されると、逆に市民の人権侵害につながる怖さもある。
一方で、捜査に支障があるなどの判断から、県警本部長が人権侵害の事実の有無を明らかにせずに調査への協力を拒否できるとする。公権力や行政機関への規制は念頭に置いていないように受け取れ、官に甘く民に厳しいと言われても仕方がない。
提案からわずか一週間余で条例を成立させた拙速さも指摘されよう。昨年十二月に県が提出してから三度継続審議になり、県民代表の議会が修正提案して可決したということなのだろう。しかし、最も大切なのは県民の生活に直接かかわる条例の内容を、県民がどれほど理解しているかである。
鳥取県には福岡県などから条例の問い合わせが来ているという。「地域独自の条例ができると、同種の事案でも人権侵害の判断がばらばらになる」と、法務省が懸念するのもよく分かる。
提案した議員が「取りあえずやってみて、問題はそのつど解決すればいい」と述べ、まず「制定ありき」の感は否めない。来年六月の施行まで時間はある。改正も視野に県民の不安をぬぐい去ってほしい。
■【主張】鳥取人権条例 擁護法案と同様問題多い
鳥取県人権侵害救済条例が県議会で可決、成立した。都道府県で初めての条例である。先の通常国会で提出が見送られた政府の人権擁護法案と同様、多くの問題をはらんでいる。
まず、人権侵害の定義があいまいで、対象が広範囲に及んでいることだ。条例は「名誉や社会的信用を低下させる目的で公然とひぼう、中傷する行為」「身体や生活の不安を覚えさせるような著しく粗野、乱暴な言動」などとしている。人権侵害を助長・誘発する行為も禁止される。
いずれも拡大解釈の恐れがあり、運用によっては「人権」に名を借りた新たな人権侵害を招きかねない。
条例はマスコミにも適用される。識者の中には、このメディア規制の部分のみをとらえて、条例を批判する意見が強いが、マスコミだけでなく、政治家や学者を含め、一般の人たちの言論活動も制限される危険性がある。
条例によれば、五人の非常勤委員から成る人権侵害救済推進委員会が、被害者の申し立てなどを受けて調査し、加害者に勧告や研修参加の勧奨を行うとされる。正当な理由なく勧告に従わなかった場合は、氏名を公表され、調査を拒めば罰則も科される。
調査の方法は事情聴取や資料請求などで、政府の人権擁護法案にあった立ち入り検査までは入っていない。しかし、地方自治体の一機関に、これほど強大な権限を与えてよいものか。
政府の人権擁護法案には国籍条項がなく、下部組織の人権擁護委員に外国人が選考される懸念があった。条例では、五人の委員会の下部組織は置かれず、県側は外国人が選考されることはないとしている。だが、定義のあいまいさから、「北朝鮮への経済制裁」などと訴えることが人権侵害とされかねない危険性は消えていない。
今回衆院選で自民党は圧勝したが、党内で人権擁護法案に強く反対した議員の多くが郵政民営化法案にも反対したため、党の公認を得られず、落選するか、当選しても無所属のままだ。他方、法案賛成派の与党人権問題懇話会(座長・古賀誠元幹事長)は今月中にも、活動再開を予定している。
選挙の余勢を駆って、再び、問題の多い人権擁護法案の成立を目指すグループの動きを注視したい。
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- 2008年02月18日 16:09
- from 浅尾美和 乳首写真
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