2005年10月24日
奴隷の言葉。
- teto
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- カテゴリー:国際問題
閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本 江藤 淳 文春文庫より一部引用。p290~
証言台に上がった東條元首相に対するウエッブ裁判長の尋問と、弁護人側の再尋問は、一月七日午前十一時十五分をもってすべて終了したが、翌一月八日付「朝日新聞」の「天声人語」欄は、東條証言について次のように記した。注)弁護側再尋問が終わったのは昭和二十三年(一九四八)のこと。
<キーナン検事の尋問に対して東條被告は『首相として戦争を起こしたことは道徳的にも法律的にも正しかった』と答えている▲東條が法廷で何を言おうとそれはかまわぬ。思った通りをそのまま言えばよい。東條一人が前非を悔いてしおらしいことを言ってみても今さら何の足しにもならぬ。われわれもまた東條の言辞を相手に論争しようとも思わぬ▲問題は、東條の陳述に国民がどんな反応を起こすかである。アルカリ反応をするか酸性反応を示すかである。諸外国の注意もそこにある▲外人記者も言っておる『世界は東條の口許を見てはいない。東條の言を聞いた国民の表情を注視しているのだ』と▲このごろ電車の中などで、『東條は人気を取りもどしたね』などと言うのを耳にすることがある。本社への投書などにも東條礼賛のものを時に見受ける。沈黙している大部分の国民は、いまさら東條のカストリ的、爾光様的迷句に酔うとは思われない。が一部に東條陳述共鳴の気分が隠見していることは見のがしてはならない▲それは歴史のフィルムを速く回すことだ。民主主義のプールに飛び込んだはずの水泳選手が、開戦前の侵略的飛込台に逆もどりするにひとしい。それはまた、美しいワイマール憲法を作ったドイツ国民が、ナチスの毒虫にむしばまれていったことを連想させる>(太字は書籍では傍点。江藤淳による)
一方でCCD(Civil Censorship Detachment' 民間検閲支隊)の事前検閲の拘束を受け、他方「影響力のある」ジャーナリストの一人として、「つねに」CI&E(Civil Information and Education Section' 民間情報教育局)の連絡将校と接触し、「宣伝計画」の一翼を担わされていたに相違ない「天声人語」の当時の筆者が、ここで一目瞭然な”奴隷の言葉”を用いて語っているころは、何ら驚くにあたらない。(太字は管理人)
それよりもむしろ、注目すべきことは、そのような”奴隷の言葉”を用いて書かれたこの「天声人語」が、なおかつ「東條は人気を取りもどしたね」という車中の声を紹介し、「一部に東條陳述共鳴の気分が隠見している」という事実を指摘している点である。
いうまでもなく、この事実は、前掲CI&E文章中の、「東條は自分の立場を堂々と説得力を以て陳述したので、その勇気を国民に賞賛されるべきだという気運が高まりつつある。この分で行けば、東條は処刑の暁には殉国の志士になりかねない」という認識と、正確に照応している。「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」の「第三段階」は、ほかならぬこの危機感をバネとして展開されるにいたったのである。
いや、「宣伝計画」というなら、そもそも市谷法廷における極東国際軍事裁判そのものが、もっとも大規模な「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」と目されるべきものであった。その宣伝効果をより一層完璧ならしめるために、CI&Eの下に裁判の真の姿を隠蔽し、あるいは日本の報道機関を「指導」して、被告団の生命を賭した陳述に罵声を投げつづけさせたのであった。
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終戦直後の日本国民の東條元首相への心情が見えてくる部分である。そしてGHQは、そんな日本の国民世論を抹殺しようと検閲を推し進めるのである。今現在の日本は、アメリカの言い分を頭から受け入れたメディアに支配されているのである。
先日の小泉首相の靖国参拝によって中韓が反発せざるを得ない状況になってしまったが、そもそも戦没者に対する慰霊は、他国に何ら文句を言われるべき筋合いのものではない。
戦後の日本における太平洋戦争の史観を決定付けたのが、アメリカによる占領政策と東京裁判であり、その事実を検証しなければ靖国神社へのいわゆるA級戦犯合祀を巡る議論の本筋は見えてこない。
小泉首相は最近「中国は、日本人の心の問題にまで踏み込んだことを後悔するだろう」と述べているとのこと(この言葉は2chのコピペだと思っていた)だが、中国をそそのかした某大新聞社様も同時にその責任を引き受けてもらいたい所である。
ちなみに経済交流は活発でありながら政治交流は少ない現在の日中関係を、ことさら問題視する評論家も多く「だから首相は靖国参拝を辞めるべきだ」という主張がよく聞かれるが、そんなことは全くない。中国が他国の慰霊に口を挟むことが異常なのであって、そんな言葉をいちいち聞く必要はない。現在の状況は、ヨーロッパ諸国が北朝鮮と集中的に国交を結んでいた一時期に見られた「バスに乗り遅れるな」論とよく似ている。
もちろんこれだけ経済交流が発達した現代において、諸外国との関係が重要なのは間違いないが、これだけ政治的に険悪になりながらも経済交流が着実に進展している事実を忘れるべきではないだろう。
特に慰霊の問題に関しては、他国の干渉を排除し、自国内で議論すべき問題だと信じる。
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